医師の働き方改革
背景とタイムスケジュール
「働き方改革関連法」は2019年4月1日から順次施行され、1.時間外労働の上限規制、2.年次有給休暇の取得義務化、3.雇用形態に関わらない公正な待遇の確保が主なポイントであり、医師も例外ではなく適応となりました。2024年からの実施に先立ち、医療機関は勤務する医師の労働時間の把握が必要となりました。時間外勤務が年間960時間を超える医師が在籍している医療機関は、医師労働時間短縮計画を作成し、2023年度末までに医療機関勤務環境評価センターによる第三者評価を受けて、都道府県による特例水準医療機関の指定を受けることになりました。
具体的な選択
A水準 | 960時間を超える医師のいない医療機関。 |
B水準 | (1)①三次救急医療機関、②二次救急医療機関かつ「救急車受入1000台/年または休日・時間外入院件数500/年以上」かつ「5疾患5事業の確保のために必要と位置付けられた医療機関」、③在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関、④公共性と不確実性が強く働くものとして都道府県知事が地域医療確保のために必要と認める医療機関、(2)高度のがん治療、移植、児童精神科等の代替困難な医療を提供する医療機関。いずれの場合も全てではないが960時間を超える時間外勤務の医師が存在する医療機関。 |
連携B水準 | 大学病院や地域医療支援病院等のうち、医師の派遣を通じて地域の医療提供体制を確保するために必要な役割を担う医療機関。 |
C-1水準 | 長時間集中的に経験を積む必要のある研修医が存在する医療機関。 |
C-2水準 | 特定の高度な技能の取得のため集中的に長時間修練する必要のある 医師が存在する医療機関。 |
医師の働き方改革の地域医療への影響
地域の医療機関は大学病院等から医師の派遣を得て、外来・手術・日当直等の業務の支援を得て成り立っていることから、医師派遣の制限が懸念されます。
その他
- 医療機関は労務管理に関する責任者1名を置き、責任の所在とその役割の明確化が求められます。
- 36協定の見直しや確実な締結が求められます。
- 宿日直は軽微な医療行為のみ認められ、宿日直許可を得なければなりません。宿日直時間帯に救急患者や入院患者の診療に従事していれば時間外勤務とみなされます。
- 医師業務の他職種へのタスク・シフト/シェア推進が求められます。
- 既定の残業時間が守られていない場合、使用者への罰則が明記され、「6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金」となりました。
- その他にも自己研鑽の労働時間該当性のルール作り、勤務医の負担軽減のための衛生委員会の役割の明確化、連続勤務の制限、女性医師支援などが求められています。