蔵王山

在宅医療

 法的に義務化された「山形県難病診療連携センター」と「山形県医療的ケア児等支援センター」が山形大学医学部附属病院内に設置されました。
 山形県難病診療連携センターは、山形県内医療機関および難病相談支援センターからの難病医療の相談窓口となり、国・他県の難病医療機関・センターと連携しています。医療者向けの研修会を年2回開催しています。
 山形県医療的ケア児等支援センターは、医療的ケア児直接処遇者研修として、保育園や障がい者施設における医療的ケア児受入れ支援のための緊急時対応研修を行っています。
 山形県医師会では両センターの設置を機に、成人在宅、小児在宅、難病診療のそれぞれの分野の課題を共有し、連携するため、令和4年度から従来の在宅医療推進委員会と小児在宅ケア推進委員会を統合し、難病対策も兼ねて在宅医療委員会を新設しました。成人在宅、小児在宅、難病診療のそれぞれの分野が連携することで、切れ目のない在宅医療の取組みを推進することを目的とした委員会となっております。
 将来、在宅医療を担う人材を育成するため、毎年、当医師会から講師を派遣し、山形大学医学部医学科4年の学生に在宅医療についての講義を行い、在宅医療への理解を深めています

1.各地区医師会の取組みについて

山形大学医師会

 山形大学在宅医療・在宅看護教育センターの活動として、医師・看護師・介護職員等の医療職や大学院生を対象として、がん緩和などを中心テーマに据えて、基調講演、パネルディスカッション、演習等からなる公開講座を年間4日間、開催しています。
 また、褥瘡予防・自立支援研修会を開催しています。山形大学医学部附属病院内には山形県難病診療連携センターと山形県医療的ケア児等支援センターが設置され、県内の在宅医療の構築、推進に貢献しています。

山形市医師会

 在宅医療介護連携室(ポピー)を中心に、行政、病院、看護、介護など多職種との連携を図り、住民の皆様に在宅に関する情報について、各コミュニティセンターにて直接的な説明会やネットでの動画配信などで啓発活動をしております。
 今後、ポピーYouTubeチャンネルの開設も検討しております。また、在宅医間の連携を推進する目的で、令和4年度に在宅医のみで構成された在宅推進連絡会を立ち上げました。ポピーと連携し、さらにより良い在宅医療を目指してまいります。

天童市東村山郡医師会

  1. 医師会内に「在宅医療・介護連携委員会」を組織して活動をしています。
  2. 医師会内に在宅医療連携室「エール」を立ち上げ、市民の様々の問い合わせに応じると同時に、在宅主治医不在時の主治医の決定について包括支援センターと連携して解決を図っています。
  3. 年1回、行政・包括とともに合同の研修会を開催し、歯科医師会、薬剤師会にも参加を促して互いの連携強化を図っています。
  4. 「主治医研修会」を開催して、「主治医意見書」の書き方について研鑽を積んでいます。

寒河江市西村山郡医師会

在宅医療・介護連携支援室 たんぽぽの活動

  1. 在宅医療・介護連携の現状及び課題把握のために、病院・医院・歯科医院・薬局・介護事業業所計285機関を対象にアンケート調査を実施しました。
  2. 「あんしんマップ」「あんしん手帳」及び、在宅医療普及啓発・人生会議リーフレットの配布を行っております。
  3. 多職種連携のために、オンライン研修会を開催しています。

上山市医師会

 上山市在宅医療介護連携拠点の相談窓口が上山市役所健康推進課内にあります。市民からの相談は市役所内の地域包括支援センターが受け付け、医療・介護従事者からの相談は拠点で受け付けています。多職種が連携し在宅医療・介護を一体的に提供できるよう、市民への周知、さらなる協力を目指しています。

北村山地区医師会

 北村山地域在宅医療・介護連携推進事業や「看取り」に関するシンポジウムを開催しています。患者家族、看護学生、医学生、住民、行政職員、救急救命士、弁護士、警察官、宗教家、外国人、介護施設職員(介護福祉士、ケアマネージャー)、訪問看護師、医師(勤務医、開業医)がシンポジストとなり、全国でも最先端のシンポジウムになっています。
詳しくは北村山地区医師会ホームページ「医師会の活動」を御覧ください。

新庄市最上郡医師会

 県立新庄病院の移転・改築に伴い、院内に総合患者サポートセンターが設置されます。これは、地元自治体の協議会が運営し、県立病院、行政、医師会が連携、協力して行います。医療、介護、福祉に関する様々な情報を共有することによって、地域住民の生活の質の向上のみならず、消防・警察を含む多職種の負担軽減に取り組みます。

酒田地区医師会十全堂

  1. 在宅医療休日当番制(2012年から運用)
    日曜祝日などの際の看取りに当番制を導入して、かかりつけ医が出張等で留守になった際の看取りを当番医が行う仕組みを構築しています。
  2. 在宅医療研修会
    在宅医療の普及と質の向上を目的に、2003年より年1回開催しています。
    2014年からは研修会後にケアマネジャーとの交流会も開催し、顔の見える医療介護連携を目指しています。
  3. 在宅医療・介護連携支援室「ポンテ」
    各種医療・介護サービス資源の把握・情報収集・相談支援を行うとともに、医療サポート研修会・ワークショップなどを年8回程度開催しています。

鶴岡地区医師会

 医師会に設置した地域連携室「ほたる」を事務局に、在宅医療に限らず、地域包括ケアシステムの充実を目指した下記の活動に取り組んでいます。

  1. 南庄内在宅医療を考える会、ほたる多職種研修会、医療と介護の連携研修会や交流会、地域電子カルテNet4U・Note4Uの運用、南庄内・たべるを支援し隊(地域NST)、市民や各職種からの総合相談窓口、訪問歯科診療相談窓口
  2. 在宅緩和ケア推進の取組み:事例検討会、市民公開講座、研修会
  3. 三師会の会長・担当理事、市町村、保健所、病院の連携室、ほたるが参加する定例カンファレンス

南陽市東置賜郡医師会

 在宅医療推進委員会を設置し、年3回、ケアマネ、介護施設職員、行政、包括支援、薬剤師、歯科医師等との合同研修会を行っております。コロナ禍で中止になることもありますが、テーマはコロナ禍でのメンタルヘルスや感染対策、在宅口腔ケア、認知症についてなどです。認知症についての講習会は、市民公開講座として定期的に行っております。

長井市西置賜郡医師会

 長井市、白鷹町、飯豊町、小国町と連携し、地域包括ケアシステムを推進するため、「地域在宅医療連携推進室」を開設し、住民からの在宅医療・介護連携に関する相談や連携取組みの支援を行っており、広域的な連携にも重要な役割を担っています。また、多職種参加の研修会開催やインターネット活用による最新情報多種職間共有の「在宅医療多職種連携システム(ほっとネット)」を運用し、利用拡大の講習も行っています。連携室主催の講演会を当医師会のホームページで聴講できるように作業を進めています。

米沢市医師会

  1. 在宅患者の看取りに関する休日当番医体制
     休日に主治医がいない際に当番医が看取りを行うシステム
  2. 年に一度の多職種連携カンファレンス
     医師、歯科医師、薬剤師、訪問看護師、ケアマネが参加し、講演会やスモールミーティングを開催
  3. 在宅医療・介護連携支援センターの設置
     講演会の情報発信や往診可能な診療所、看取り可能な施設の情報の共有など

2.今後の展望・課題

  1. 各地区での在宅医療、地域包括ケアシステムに関する取組みを公開し、他の地区の参考になるようにします。
  2. 在宅医療、地域包括ケアシステムに関する研修会、講習会、シンポジウムを当医師会が各地区の医師会と共催し、情報通信機器を利用して山形県内の郡市地区医師会と在宅医療や地域包括ケアシステムに関する情報共有を密にして、連携を推進していきます。
  3. ACP(Advance care planning)の普及、在宅療養患者の救急搬送時の病診連携体制の構築、成人および小児在宅診療を担う医師の育成等の課題を多職種間で共有し、在宅医療についての理解を深めていきます。