時代雛

食物アレルギーを有する児童・生徒および乳幼児に対する対応

 食物アレルギーを有する児童・生徒への対応として、山形県小児科医会は「学校生活管理指導表(食物アレルギー用)」と「食物アレルギー症状が出現したときの対応」を作成し、2015年4月に山形県医師会ホームページに掲載しました。

 山形市小児科医会は、2015年に「学校生活管理指導表(食物アレルギー用)」と平行して「幼稚園・保育所における生活管理指導表(食物アレルギー用)」を作成し、主に山形市で使用していましたが、この度、山形大学医学部附属病院小児科が編集協力し、さらに、山形県小児科医会および山形県医師会の承諾も得られましたので、山形県全体で活用してもらうために、ここに呈示いたします。

 食物アレルギーを有する小児に対しては、幼稚園や保育所においても、学校と同様の対応が求められます。厚生労働省は2019年に「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」を発行しましたが、そのなかに「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」が示されており、食物アレルギー用のものがあります。今回呈示した「幼稚園・保育所における生活管理指導表(食物アレルギー用)」は、厚生労働省が発行した生活管理指導表の内容を踏まえて作成したものですが、幾つか変更点や追加項目がありますので、以下に列挙します。

  1. 厚生労働省が発行したのは横長の用紙のもので、アレルギー性鼻炎用と同じページになっていますが、今回作成したものは縦長にし、食物アレルギー用単独のものにしました。
  2. トップの部位に気管支喘息のあり、なしを記入するようにしましたが、気管支喘息の存在はアナフィラキシーの重篤化の危険因子であると言われていることから、参考のために追加しました。
  3. “C”の内容ですが、厚生労働省発行のものでは原因食物と除去根拠を記入することになっていますが、症状も記入することにしました。これは、複数の原因食物を有する場合、それぞれの食物により起こす症状が異なる可能性があり、特にアナフィラキシーを起こした食物があれば、その情報を頭に入れて置くことで、なお一層の注意を喚起することができるからです。

 尚、この生活管理指導表はあくまでも活用することを推奨するというものであり、活用を義務付けられてはいないということを心置きください。

 今回は「学校生活管理指導表(食物アレルギー用)」「食物アレルギー症状が出現したときの対応」も新たに掲載しました。その内容は2015年4月に掲載したものとほぼ同じですが、前者は、“提出日”や“記載日”を平成から令和に変更しました。後者は、最下段の中等症の“対応の仕方”の②で、旧版では「・・・かかりつけ医を受診する(救急車で搬送も考慮)」となっていたものを、新版では「・・・かかりつけ医か緊急連絡先の医療機関を受診する」に変更しました。

 食物アレルギーの子どもさんに対して、主治医は細心の注意を払って管理していかなければなりません。ここに呈示した生活管理指導表や症状の出現したときの対応の書面が、管理をしていく上での一助になればと思っております。

付記: 「食物アレルギー症状が出現したときの対応」の最下段の“対応の仕方”ですが、山形市では緊急連絡先の医療機関が山形市立病院済生館か山形県立中央病院に決まっていますので、これらの医療機関名を入れた書面を使用していました。山形県医師会ホームページに掲載されているのはPDFファイル形式によるものですので、画面上での変更ができません。そこで、山形市も含め、緊急連絡先の医療機関が決まっている地域で、それを具体的に記載した書面が必要な方にはメールでお送りしますので、下記の秋場伴晴宛のメールアドレスにご連絡ください。
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