天童市 倉津川

「山形県小児肥満対策マニュアル 2019」の発行に当たって

 山形県は全国的にみて小児肥満の割合が高く、学校保健の中で肥満対策は重要な位置を占めています。2014年に山形県小児保健会が作成した小児肥満対策を基本にして、山形県医師会学校保健委員会の承認、山形県教育委員会の協力のもと、県内統一した基準で小児肥満対策を行うことになり、「小児肥満対策マニュアル」が発行されました。それから5年が経過しましたが、2018年度学校保健統計調査によると、山形県における肥満傾向児の出現率は依然として高い状態が続いています。

 山形大学医学部附属病院小児科が、2018年2月に“小児肥満対策マニュアルの活用状況と県内各市町村の肥満に対する意識調査”を行いました。その結果、「小児肥満対策マニュアル」の小中学校における活用状況は40.9%と不十分であることが判明しました。また、その内容に関しては、「内容が厳しい」、「イラスト、グラフ、日付が必要」、「使いにくい、見にくい」、「表現が難しい」、などの意見が寄せられました。

 そこで、「小児肥満対策マニュアル」を改訂し、「山形県小児肥満対策マニュアル 2019」を発行しました。主な変更点は、従来は、中等度肥満は学校で対応することになっていましたが、2017年に発行された日本肥満学会編の「小児肥満症診療ガイドライン 2017」で、中等度肥満に対しては、“小児肥満症のリスクを検査するため医療機関への受診を勧める”と記載されていることから、中等度肥満もかかりつけ医への受診を勧告するようにしたことです。また、軽度肥満も学校で対応することにしました。

 学校における具体的な対応は、高度肥満に対しては、これまでと同様にかかりつけ医への受診を勧告します。中等度および軽度肥満に対しては、『小児肥満に対する学校での対応』(資料1)に記してありますが、『保護者の方へ』(様式1)、『体重、ウエスト周囲長の測定表』(様式2)、『肥満度、ウエスト/身長の推移』(様式3)、『食・生活習慣チェックリスト』(様式4)を活用します。そして、中等度肥満に対しては、かかりつけ医への受診を勧告します。
 更に、『小児肥満に対する一次医療機関の対応』(資料2)と『小児肥満に対する二次医療機関の対応』(資料3)を作成しました。これは、「小児肥満症診療ガイドライン2017」に“ある程度共通した対応をすることが望まれる。対応がばらばらの場合は診療効果が低下する”との記載があったために、医療機関の対応に一つの目安を示すことを目的としました。

 「山形県小児肥満対策マニュアル 2019」の内容に関しては、今後随時検証を行って、より充実した、そして、より活用しやすいマニュアルに発展させていく予定です。ご意見がございましたら、山形県小児科医会、山形大学医学部附属病院小児科あるいは山形市立病院済生館小児科にお知らせください。

2019年3月

山形県小児科医会 秋場伴晴
山形大学医学部附属病院小児科 沼倉周彦、三井哲夫
山形市立病院済生館小児科 大通 尚

平成26年4月 初版
平成31年3月 改訂